企業SNSの画像利用著作権・肖像権の違いと投稿前の確認ポイント

企業SNSの画像利用|著作権・肖像権の違いと投稿前の確認ポイント

SNS運用の基礎知識

企業SNSの画像利用
著作権・肖像権の違いと投稿前の確認ポイント

情報確認日:

企業のSNSで画像を使うときは、「画像を使う権利」と「写っている人や対象に関する確認」を分けて考えることが基本です。撮影者から許可を得た写真でも、人物の広告利用まで認められているとは限りません。

ネット上で公開されていること、無料で入手できること、自社の商品が写っていることだけでは、企業が自由に転載できる根拠にはなりません。まず権利の違いを押さえ、その画像をどこで、何のために、どのように使うのかを整理しましょう。

画像の権利は、ひとつの許可では完結しない

著作権:写真やイラストの表現に関わる権利

創作性のある写真やイラストには、著作権が発生します。他人の画像を保存して自社SNSにアップロードする行為では、複製権や公衆送信権などが関係します。原則として権利者の許諾が必要ですが、適法な引用など、法律上の例外もあります。

制作費を支払った場合も、著作権が当然に自社へ移るわけではありません。外注画像は契約を確認し、SNS投稿、広告、別媒体への展開まで利用できるかを把握しておきましょう。

著作者人格権:名前の表示や改変にも注意

著作権とは別に、著作者には公表、氏名表示、意に反する改変などに関わる著作者人格権があります。画像の利用許可を得ても、自由な加工まで認められたとは限りません。切り抜き、色の変更、文字の重ね合わせなど、予定する編集も確認対象です。

法制度の解説:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」

肖像に関する利益:撮影と公開を分けて確認する

人物写真では、撮影者側の権利に加え、写っている人の肖像やプライバシーへの配慮が必要です。無断撮影・公開が常に違法になるわけではなく、場所、目的、撮影・公開の態様などによって判断が変わります。

企業が人物を主役として紹介する場合は、撮影時の了解だけで済ませず、掲載先と利用目的まで確認しておくと認識の違いを減らせます。社員の写真も同様です。採用広報への掲載と、商品広告への起用は分けて考えましょう。

顔をぼかしても、名札、制服、場所、本文の説明などから本人が分かることがあります。画像単体ではなく、投稿全体で確認することが大切です。

関連する解説:文化庁「他人の肖像や著作物は含まれていませんか?」内閣官房掲載資料「肖像権ガイドライン」

よくある画像の入手方法と確認ポイント

ユーザー投稿:タグ付けは転載許可と区別する

自社アカウントへのメンションや指定ハッシュタグがあっても、それだけで画像のダウンロード、再投稿、広告利用まで許可されたとは判断できません。応募規約などで利用許諾を得ている場合も、その対象と範囲を確認します。

個別に許諾を得るときは、対象の投稿を特定したうえで、次の内容を伝えると曖昧さが残りにくくなります。

  • 掲載する企業名・アカウント・媒体
  • 通常投稿か、有料広告にも使うのか
  • 掲載期間と、過去投稿を残すかどうか
  • 切り抜きや文字入れなどの加工内容
  • 投稿者名・アカウント名の表示方法

投稿者が撮影者とは限らず、別の人物が写っていることもあります。許可を出す権限があるか、被写体について必要な確認ができているかも、あわせて整理しましょう。

フリー素材:無料と無条件は違う

素材を使える範囲は、配布元のライセンスや契約によって異なります。「商用利用可」の表示に加えて、広告への使用、加工、クレジット表記、利用者数、禁止用途を確認します。人物素材は、モデルの同意がどの範囲まで確認されているかも重要です。

素材を取得した日付、素材ページ、利用条件をまとめて保存しておくと、担当者が変わった後も利用根拠を追いやすくなります。

引用:出典を付けるだけでは成立しない

引用は、許諾なく利用できる場合がある制度です。ただし、公表された著作物であること、公正な慣行に合致すること、批評などの目的に照らして正当な範囲であることなどが必要です。引用部分の区別や出所の明示にも注意します。

自社の説明と関係の薄い写真を、投稿を華やかにするために載せる使い方は、出典があっても引用として認められるとは限りません。必要な範囲を超えていないかを確認しましょう。

引用の要件:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」

自社撮影:背景と撮影場所のルールも確認する

自社で撮った写真にも、人物、ポスター、作品などが写っていることがあります。他人の著作物が付随して写る場合には著作権法上の例外が適用されることがありますが、作品そのものを主要な訴求素材として使う場合まで、一律に自由になるわけではありません。

また、施設やイベントの撮影・公開条件は別の確認事項です。撮影が可能でも、企業アカウントへの掲載や商用利用には条件が設けられている場合があります。

写り込みに関する制度:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」

AI生成画像も、公開前の確認が必要

AIで生成した画像だからといって、権利上の問題がなくなるわけではありません。文化庁は、生成・利用段階について、既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定も適用されない場合には、著作権侵害となり得ると整理しています。

実務では、ツールの商用利用条件に加え、出力された画像に既存作品の創作的表現や、特定の人物・ブランドと誤認させる要素がないかを確認します。「商用利用可能」という規約だけで、個々の生成画像の権利確認まで完了するわけではありません。

生成時から残しておきたい記録

  • 利用したツールと生成日
  • 入力した指示と参照画像の利用根拠
  • 採用した出力と、その後の加工内容
  • 確認者と公開を判断した理由

記録は適法性を保証するものではありませんが、問題が起きた際の経緯確認や、素材の差し替え判断に役立ちます。

生成・利用段階の整理:文化庁「AIと著作権について」

投稿前は「出所・対象・用途・記録」を確認する

画像を入手した時点で確認を終えると、別の用途へ転用するときに見落としが生まれます。公開する投稿と許諾内容を照合する工程まで、運用に組み込むことが大切です。

  1. 出所を確認する。
    自社撮影、外注、素材サービス、ユーザー投稿、AI生成のどれかを明確にし、利用根拠を確認します。
  2. 画像に含まれる対象を確認する。
    人物、他人の作品、ロゴ、個人情報などを確認し、追加の同意や掲載方法の調整が必要か判断します。
  3. 実際の用途と照合する。
    媒体、広告利用、加工、期間、クレジットが、契約や許諾の範囲内にあるか確認します。
  4. 確認結果を素材と一緒に残す。
    許諾のやり取り、契約、利用条件、確認者、掲載先をひも付けます。不明点が残る素材は、確認が終わるまで公開を保留します。

素材台帳で、使える範囲を見える状態にする

共有フォルダに画像だけを保存すると、「前に使ったから今回も使える」という判断が起きやすくなります。素材ごとに利用条件をひも付けた台帳があると、再利用や引き継ぎが円滑になります。

素材台帳に残す基本項目
管理項目 残す内容
素材と出所 素材ID、撮影者・提供者、取得元、取得日
利用範囲 掲載媒体、広告利用の可否、加工条件、利用期間
同意と表記 被写体の同意範囲、クレジットの指定、許諾記録の保存先
公開履歴 確認者、掲載した投稿、利用期限、対応履歴

通常投稿で反応が良かった画像を広告に転用する場合も、台帳で利用範囲を再確認します。外部の制作・運用パートナーと協働するときは、素材を集める人、許諾を確認する人、公開を承認する人の担当を決めておくと、確認漏れを抑えられます。

SNS画像利用でよくある疑問

出典を書けば、他人の画像を使えますか?

出典表記だけでは利用許諾の代わりになりません。許諾やライセンスがあるか、引用などの法的な例外に該当するかを確認します。

スクリーンショットなら転載してもよいですか?

保存方法を変えても、画像や文章の権利はなくなりません。スクリーンショットも、掲載内容と使い方に応じた確認が必要です。

一度許可を得た画像は、別のSNSにも使えますか?

許可された範囲によります。ひとつのアカウントへの掲載許可が、他媒体や有料広告まで含むとは限りません。用途が変わるときは、元の許諾内容に立ち返ります。

権利者から連絡が来たら、どう対応しますか?

対象の投稿と連絡内容を記録し、権利関係と利用許諾を確認します。社内責任者へ共有し、必要に応じて公開・配信の停止や専門家への確認を進めます。投稿を削除する場合も、経緯を確認できる記録は保存しておきます。

権利の確認を、日々の投稿制作に組み込む

SNS画像の利用では、誰が作ったか、何が写っているか、どの用途が認められているかを確認します。公開済みの画像も、広告への転用や別媒体への展開では、あらためて確認が必要になることがあります。

画像と利用条件を一緒に管理することが、継続的な運用の土台になります。素材選定から公開までの流れに確認を組み込み、担当者が変わっても判断の根拠をたどれる状態を整えましょう。

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